やぐるま荘

今から約7年前、温泉ソムリエなる資格を取得した。その使命とは、温泉の魅力を正確に把握し、その素晴らしさを客観的に伝え、健全に楽しみながら、広めていくことだと自負している。泉質の知識を身に着けることで、より一層温泉の効能が増幅したかのように思える。まさにプラシーボ効果である。その温泉ソムリエセミナーを受講した宿が今回紹介する「原鶴温泉 やぐるま荘」だ。

年季の入った旅館ではあるが、こちらの温泉は原鶴でも屈指の泉質を誇る。源泉よりほど近い場所に設置された飲泉場から湧出したばかりの温泉をタオルでかき混ぜると真っ白に白濁し、30秒ほどで透明へ戻る。これは温泉の中に炭酸が含まれているためにおこる現象で「忍者の湯」と命名されている。雲隠れできそうなのがその所以だとか。

それを目の当たりにしてコップ一杯の温泉を飲んでみる。ちょっぴり甘目で硫黄の香りが鼻腔をくすぐる。胃腸の働きを活性化させるそうだ。“飲める忍者の湯”にワクワクしながら大浴場へ進む。

さっさと服を脱ぎ捨て浴場へ。巨大な岩を配した浴槽は豪快な雰囲気を纏った岩風呂だ。心臓より離れた足先からかけ湯をはじめ、徐々に心臓へと上がっていく。最後に左肩からのかけ湯でフィニッシュ。これが正式なかけ湯の仕方である。体に今から温泉へ漬かるぞ!という信号でもあり、体の汚れを流すマナー的要素も兼ね備えているのだ。さてまずは、手前の浴槽から。というのもそれぞれの浴槽で温度が違う仕組みになっていて、手前はもっともぬるくて約40度。いつものごとく左足から漬かり、場所を決めて、ゆっくりと腰を下ろす。

ぬるめなので、そこまでのため息が出ない。心地いい。pH値8.6という温泉はトロットしてて気持ちいい。実はこのトロトロ、ヌルヌル感は自分の肌の古い角質層を乳化させている感触なのである。お湯そのものの質感ではないのだ。先きほどの飲泉時にも香ったゆで卵みたいな硫黄成分の匂いだ。メラニン色素を分解するという漂白効果が期待大。そして、ぬるめの湯はリラクゼーション効果を発揮する。10分ほどぬる湯を楽しみ、隣の浴槽へ。

43度という熱めの湯は体を覚醒させて、元気になってくる効能がある。巨大な岩からもエネルギーをもらってるような感覚にも陥る。、ふ~っなんだか、目が見開いてきたようなので、露天風呂へ。涼しい外気で元気な体を冷ましつつ、緑に囲まれた浴槽に漬かる。ここが最も気持ちいい温度だ。おそらくは41度くらいかと思われる。この露天風呂、奥の方には電流が流れる低周波風呂も完備していて腰痛は瞬時に改善されるとか。さらには先述した炭酸分は血管へ溶け込み、血流を促進させて血液サラサラ、湯上りの保温効果も抜群になるという効能がある。

 こんなことを考えて漬かる心地よさにため息も連発。たまにタヌキが遊びにくるのも納得の温泉天国である。完全無欠の健康体を取り戻したところで、今夜のお酒は旨そうだ。

【原鶴温泉 やぐるま荘】

福岡県朝倉市杷木久喜宮1890の1 電話0946(62)0700

http://yaguruma.jp/

■泉質名:アルカリ性単純温泉

■浴用効果:皮膚炎・慢性婦人病・きりきず・高血圧症・動脈硬化症・慢性消化器病・関節痛・・

■飲用効果:慢性消化器病・痛風・糖尿病・動脈硬化症・・

・定休日:不定

・立ち寄り入浴料:600円

・立ち寄り入浴時間:10時~20時受付