
温泉には、含まれている化学成分や、温度、液性(pH)、色、匂い、味、肌触りなど様々な特徴があります。温泉の泉質は、温泉に含まれる化学成分の種類とその含有量によって決められています。こちらでは、温泉の泉質についてご紹介します。
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1, 塩化物泉
塩化物質が多い泉質は、塩っ辛い味がするのが特徴です。以前は塩化物泉が日本で一番多い泉質だったのですが、掘削技術の進歩により次々と温泉が誕生し、現在では日本の源泉の27%が塩化物泉となっています。これは、単純温泉に次いで多い泉質です。皮膚に塩分が付着し、汗の蒸発を防ぐため良く温まり、湯冷めもしにくく、保温効果も高くなります。ナトリウムイオンは、女性ホルモンのエストロゲンの分泌を促進させる働きがあることから、女性の更年期障害にも有効であるとされています。
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2, 炭酸水素塩泉
炭酸ナトリウムを含む重曹泉と、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含む重炭酸土類泉の2種類あり、アルカリ性の泉質です。皮膚の角質を柔らかくすることで皮脂を浮かび上がらせ、肌がなめらかになり、特に重曹泉は「美人の湯」とも言われます。重炭酸土類泉は鎮静作用や炎症を抑える作用があるので、アレルギー性疾患や慢性の皮膚炎に有用です。日本の温泉では約5%と、割合的に少ない温泉です。
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3, 二酸化炭素泉(炭酸泉)
炭酸成分が含まれているので、まるで炭酸飲料水のような泉質。お湯に浸かると体に多くの泡がまとわりつくのが他の温泉にはない大きな特徴です。日本では珍しい泉質で、高温になると二酸化炭素が気化してしまうので、温度はぬるめです。サイダーのような味わいがします。
※二酸化炭素が肌から浸透してくるので、長く入っていると一種の酸欠状態を起こすこともあります。温度がぬるめなため、ついつい長湯しがちになりますが、15分くらいまでにしておきましょう。
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4, 硫酸塩泉
「硫酸」という言葉のイメージは肌にとってはヒリヒリしたり、刺激が強うそうに感じますが、そんなことはありません。無色透明で、苦味のある温泉です。お湯に含まれるナトリウムやカルシウム、マグネシウムの量でさらに細かく分類されています。
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5, 酸性泉
日本特有の泉質です。一般的には高温で酸味がします。水素イオンを多く含み、強い酸性を示すので刺激の強いお湯になります。殺菌効果が高いため、「直しの湯」「仕上げの湯」と呼ばれることもあります。飲用は絶対に避けましょう。誤って飲用すると胃をただれさせることがあります。薄めるなどの工夫をして、慢性消化器病には効果がでる場合があります。
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6, 硫黄泉
硫黄泉は匂いがきつく、硫化水素ガス特有の匂いがあります。人によって好き嫌いが分かれる温泉です。源泉は無色透明ですが、空気に触れてしまうと酸化するため、ほとんどの温泉地ではお湯が黄色くなっています。ガスの噴気口には黄白色の硫黄が結晶し、「湯の花」と呼ばれる黄白色の沈殿物ができます。硫化水素ガスは、金属によって酸化させるので、アクセサリーなどは外して入力することをお勧めします。硫黄ガスは刺激が強いため、高齢者や子ども、虚弱体質の人には向きません。
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7, 放射能泉
無色透明で微量の放射能を含み、ラドン温泉、ラジウム温泉とも呼ばれています。温泉中に含まれる放射能は気体で体内に摂取され、肺から血液には入り、全身をめぐり、細胞にホルミシス効果を与える(極微量の放射能で生体の免疫機能高める)ことができるのです。尿酸を尿から排出する作用があるので、「痛風の湯」とも言われてます。
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8, 鉄泉
鉄を含む泉質です。湧出直後は無色透明です。鉄分が空気に触れることで酸化します。すると茶褐色になり、お湯の色は濁った褐色になるのが普通です。鉄を含んでいるため、地を作り出す効果があり、また、鉄による電導率の効果が身体の芯からポカポカと温まります。飲用は絶対禁止。ただし、貧血(鉄欠乏性貧血症)の人が引用すれば、胃酸の分泌を高め鉄分を体内に取り込む効果はありますが多飲は禁物。